■
曇
昔、下田に黒船が来た頃じゃなくて、就職してから、職場の若手を糾合して、
オールディーズのバンドをつくったことがあった。俺のパートはテナーサックス。
単音楽器で、曲の中を自由にほっつき歩けるので、その面からも気に入っていた。
ある晩、メンバーが勢ぞろいして、アップテンポの曲を練習していた時、俺に
変調が起こった。普段は楽譜を見ながら吹くのだが、その時だけはメロディが体
の中から次々あふれてくるような感じ。ベースラインに乗って吹き続けた。イン
プロビゼイションというには稚拙だったと思うが、指と息が止まらなかった。
そういや、サックスも長息を要する楽器だなあ。
その時、体の中から銀色の光が出ているような感覚だった。今から思えば、
脳内麻薬が何かの拍子でドバッと出たのだろう。そのような感覚は、後にも
先にも一度きり。
禅関係の本に、体から白銀の光が・・・という体験談があった。
マイブームはナチュラルハイだい。
- 作者: 中野東禅
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